理学療法士向けに徹底解説!アキレス腱炎について!

こんにちは!

今回はアキレス腱炎について医療従事者に徹底解説させていただきます。

ちなみにアキレス腱炎になった事ありますか?
私は経験あります。
かなり痛いんです、あれ。

医師にエコーを撮ってもらって、炎症が起こっているのを確認してもらった経験があります。
その時は両足同時になったので、非常に辛い経験をしました。

アキレス腱炎のような症状でストレッチをすると逆にひどくなる事があります。
私もやりました。
それは過度な伸長が起こっている場合があるので、ストレッチをしてしまうと逆に伸ばしてしまい起こってしまうと考えます。
炎症期が治るまでストレッチはやらず、腱のモビライゼーションなどの方が効果的かと思います。

それでは早速いきましょう!

アキレス腱の基礎解剖

 

まずは簡単にアキレス腱の基礎解剖について解説します。
基礎的な部分なので、割と当たり前の知識ですが復習がてらにお読みください。

ご存知の通り、アキレス腱は腓腹筋内側頭・外側頭とヒラメ筋の腱が一体となり、踵骨隆起に付着する、人体の中で最大の腱です。この腱が切れた方は音がしたと言うことが多いです。成人では踵骨の後面に2×2cmの大きさで存在するといわれ、この腓腹筋とヒラメ筋を合わせて下腿三頭筋といいます。

下腿三頭筋は底屈の作用があり、ランニングやジャンプ、方向転換時の蹴り足側で強く作用し、歩行時には求心性収縮と遠心性収縮が切り替わり、強いストレスが掛かります。

また、アキレス腱は後脛骨動脈と腓骨動脈の分枝により栄養されます。

腱の近位や遠位は後脛骨動脈に、腱中央部は腓骨動脈により栄養される事が報告されています。

アキレス腱などの腱組織は運動中などの血流は増加するという報告もありますが、基本的に血流が乏しい組織となっています。
さらに歳を重ねるごとに伸張性も低下していくので、血流もそれに応じて乏しくなります。
このことからもメカニカルストレスや過使用などを起こせば損傷などの可能性も十分起こり得ます。

ちなみに腱の付着部2〜6cm近位部は筋腱移行部や踵骨付着部に比較して血流が少なく、腱の変性が起こりやすいといわれています。

アキレス腱の捻れ構造

アキレス腱は外側方向への捻れ構造を呈していることで有名です。個別性があることも確認されており、3つのtypeで報告されています。

ですが、何故そのような捻れ構造を呈しているのかは十分に把握されておらず、強度や衝撃吸収能を高めるための構造であることや、踵骨は動作時に三次元的に大きな可動性を有することから、踵骨の可動性に対応するための構造ではないかと考えられています。

ある研究では、捻れ構造があることで各腱線維束内の歪みが均一化されている可能性があるため、踵骨の可動性への対応の結果なのではといわれています。

滑液包とパラテノンについて

アキレス腱の滑走時の摩擦を防ぐものとして滑液包とパラテノンがあります。
アキレス腱の付着部には滑液包が2つ存在し、腱の前方に後踵骨滑液包、腱の後方にアキレス腱滑液包があります。

そしてもう一つ、重要なものにパラテノンがあります。

普通、手指の腱などには腱鞘が存在しますが、アキレス腱には腱鞘が存在しません。その代わり、パラテノンという薄い膜が存在します。

アキレス腱の表層周囲には腱上膜が巡らされています。そしてさらにその周囲にパラテノンが存在します。腱上膜とパラテノンのあいだには組織液の貯留する薄い層があり、腱の滑走時の摩擦を防ぐ構造になっています。

アキレス腱炎について

アキレス腱の障害では腱実質部と踵骨付着部の障害に主に分かれます。

腱実質部の障害にはパラテノンに炎症を起こすアキレス腱周囲炎とアキレス腱内に障害の及ぶアキレス腱症があります。もちろんですが両者が合併することも当然あります。
このアキレス腱障害が慢性化すれば変性が起こるため、断裂などの可能性も出てきます。

踵骨付着部の障害では、滑液包炎によるもの、骨隆起や、滑液包のインピンジ、軟部組織の肥厚などが原因で起こるものがあります。

踵骨の後外方の骨性隆起と軟部組織の肥厚はpump bump(Haglund病)ともいわれており、以外と見たことある人はいるのではと思います。高齢者の方では結構多いような印象があります。

この腱実質部と腱の踵骨付着部のアキレス腱障害を総称してアキレス腱炎といわれています。

アキレス腱炎の原因

何故アキレス腱炎になるのでしょうか?
アキレス腱炎はアキレス腱に負担が掛かり起こるのですが、主に二つのパターンがあります。

  • 後足部アライメントが回内位
  • 後足部アライメントが回外位 

まず回内パターンでは、アキレス腱の内側にストレスが加わります。
回内位になる原因としては、後脛骨筋の機能不全や、knee-inなどの下肢不良アライメントによる下行性運動連鎖で起こり得ます。

逆に回外パターンは、アキレス腱の外側にストレスが加わります。股関節などによる下行性運動連鎖のものや、腓骨筋の機能不全によって回外足を引き起こす事があります。

個人的には、アキレス腱炎は回内位パターンを呈している事が多い印象です。
またこの後足部のアライメントは歩行にも関係してきます。

アキレス腱炎の歩行

  • 立脚後半相に背屈位での蹴り出しによって生じるパターン
  • 前半相からの早期の体重移動が起こり、底屈モーメントを生じるパターン

前者のパターンは回内位によって起こります。後半相でのヒールレイズに遅れが生じて背屈位での蹴り出しを行います。後者は、回外位を呈する事が多いです。

つまり後足部回内位の場合は、「立脚後期への移行が遅い」、後足部回外位の場合は「立脚後期への移行が速い」という形になります。

アキレス腱炎でよく見かけるのは、「歩行時は痛いけど足踏みは痛くない」という人。これは、歩行時の遠心性収縮などのアキレス腱への強いストレスが加わっているかいないかなのではと考えています。

アキレス腱炎の評価

アキレス腱炎の場合、後足部は回内を呈する事が多いのですが、後足部の状態を把握する事が重要です。後足部の評価として有名なものの一つとして、「The Foot Posture Index」というものがあります。

The Foot Posture Index

この評価は、足部形態を視診、触診で正常足、回内(外がえし)足、回外(内がえし)足に分類する方法です。信頼性や妥当性が高くて、点数化する事ができるので、指標として残すことができます。自然立位姿勢で評価をし、方法としては以下になります。

1. 距骨頭の触診:足関節前方で距骨頭を触診する。回内は内側で、回外は外側で触知できる。

2. 外果の上下の曲線:外果の上下の曲線を触れて、下方のカーブをみて判断。回内にすると外果の下方の曲線が強くなる。

3. 踵骨の回内外:後面から観察し、踵骨の長軸の床面に対する傾きを計測する。

4. 距舟関節の隆起:隆起が目立てば回内、目立たなければ回外位。

5. 内側縦アーチ:カーブが潰れていれば回内、挙がっているなら回外位。

6. 後足部に対する前足部の内転/外転:後方から足趾が見える数を確認。回内なら外側で、回外なら内側で多く観測ができる。

簡単に表にまとめると、こんな感じです。

各項目において、0点は正常足、2点は回内足、-2点は回外足の可能性を示唆してます。

6項目の合計点が

・ 0点から5点は正常足
・ 5点から9点は回内足
・ 10点以上は著名な回内足
・ -1点から-4点は回外足
・ -5点以上は著名な回外足

このように点数で判断していきます。

動作評価

また、動作評価もアプローチを展開していく過程で様々な情報を与えてくれます。

・ 足踏みテスト
・ 片脚立位テスト
・ 片脚スクワットテスト
・ 片脚ジャンプテスト

下の項目ほど、ストレスが高くなるので、どの程度の負荷で疼痛が出現するかを評価することもできます。もちろん歩行するのもありです。

またアキレス腱炎は足踏みテストでは痛みが生じない可能性もありますので、片脚ジャンプのような遠心性の収縮が加わるような動作で確かめる必要もあります。

動作の際の足部アライメントを観察するのも重要な評価ですが、体幹機能も同時に確認ができます。例えば、片脚立ちをした際の重心偏位や体幹の側屈が起こっているかどうかなど、下行性運動連鎖により下肢に影響を及ぼす可能性があるため必ずチェックします。

アキレス腱炎の介入ヒント

アキレス腱炎は主に伸張ストレスが長期的に加わる事によって起こる慢性疾患といわれています。特に後足部回内位を取る事が多く、足部肢位を修正する事で症状の軽減や消失がみられます。アプローチをする中で、気にするポイントを紹介します。

・後脛骨筋への介入
・腸腰筋への介入
・ヒールパッドの処方

アキレス腱炎は回内位を取る事が多いため、後脛骨筋の機能不全が起こりやすくなります。これにより、足部外転を取りやすくなり踵離地の遅延、つまり立脚後期への移行が遅れる事になり、アキレス腱内側への負担が増大します。腸腰筋もそれに関係しており、立脚後期時の股関節伸展位を遠心性収縮を用いて保っていますが、機能不全により保つ事が困難になり、その分足部への負担を強いる事になります。

この立脚後期をうまく作る事がアキレス腱炎に対する介入として重要になります。ヒールパッドの処方も踵の高さを変える事により立脚後期への移行をスムーズにさせ、疼痛の軽減を図る事ができます。数mmの高さを踵に足してあげるだけでも十分効果があります。

さいごに

今回は、アキレス腱炎の考察から介入のヒントまでを解説させていただきました。

ストレッチなどの項目は出しませんでしたが、もちろんストレッチも効果が無いわけではなく、回外位のように足部が強固な場合は用いる事もあります。アキレス腱の周囲軟部組織も滑走性が悪い場合も多いため、マッサージなどの介入も必要になります。

実際には、アキレス腱障害は、重症化するケースは少ないが、発生率が高く、管理が難しい疾患の一つとされています。
まだまだ解明されていないことがあると思いますが、少しでも参考にしていただけたらと思います。

それでは!

参考文献

1. 臨床実践 足部・足関節の理学療法:松尾善美、橋本雅至,2017,文光堂

2. PTジャーナル アキレス腱炎の予防とインソール:入谷誠,2016,医学書院

3.運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略:工藤慎太郎,2017,医学書院

4.アキレス腱障害発生メカニズムの解剖学的検証:江玉 睦明、日本基礎理学療法学雑誌 第20巻2号(2017)

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佐川 修平

佐川 修平

整形分野で働く現役理学療法士。 カラダに対するキヅキを与えられるセラピストになるのが目標。ブログの他にも、一般向けにセミナーやイベントなどを通じて情報発信中。

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