インピンジメント症候群と種類について!①

こんにちは!
本日も医療従事者向けに解説していきます!

インピンジメントはみなさんご存知かと思います。
病院やクリニックに勤務される方には、「〇〇と〇〇がインピンジしている」なんて会話もしたりするかもしれません。

肩関節や股関節と様々な場所に起こるインピンジメントを詳しく解説していきます!

インピンジメント症候群とは

インピンジメント(impingement)という概念は1970年代には定着しており、和訳されずにそのまま使用されています。言葉の理解としては「衝突」として、各関節領域で使用されます。

解剖学的および臨床学的特徴から骨インピンジメント、軟部組織インピンジメントなどと分けられます。

「インピンジメント症候群」自体は、病態の把握が不十分なものが「症候群」となるため、定義をまとめるのは非常に困難だといわれます。

一番有名なものだと、股関節のインピンジメントのfemoroacetabular impingement(FAI)でしょうか。
さらに、肩関節に至っては、腱板が肩峰と鳥口肩峰靭帯にimpingementしているうちに生ずる腱板炎や腱板断裂などをインピンジメント症候群とよんでいたとあります。歴史としては肩関節の方が上です。

さらに現在では、肘関節、手関節、足関節なども加わり、インピンジメントの言葉の役割は非常に多岐に渡ります。
なんだか訳がわからなくなります。

それでは、各関節のインピンジメントについて詳しくみていきましょう!

股関節インピンジメント

股関節のインピンジメントで代表的な物は、大腿骨寛骨臼インピンジメントfemoroacetabular impingement(FAI)になります。
股関節痛や、変形性股関節症の要因として挙げられます。

FAIは寛骨臼側、大腿骨側における軽度の骨性変形によって、股関節運動中、あるいは運動終点において繰り返しインピンジメントが起こることによって、寛骨臼縁の関節唇および軟骨に損傷が生じ、股関節痛、ひいてはOAを引き起こす

参考文献①

FAIの除外疾患としては、

  • 膠原病疾患などの関節炎症性疾患
  • 大腿骨頭壊死症
  • 股関節周囲骨折の既往
  • 明らかなOA
  • 寛骨臼形成不全股
  • 大腿骨頭すべり症
  • ペルテス病
  • 骨端異形成症

 

FAIには大まかに3タイプに分けられることで有名です。

  • Pincer type impingement
  • Cam type impingement
  • mixed typeまたはcombined type

Pincer typeは、寛骨臼側に起因するもので、多くは30〜40歳代の女性にみられます。寛骨臼前上方の関節唇の損傷と、多くは5mmに満たない幅の関節軟骨損傷が認められるといわれます。

Cam typeは、大腿骨側に起因し、20〜30歳代の男性でよくみられます。Pincer typeと比較して、より広範囲の寛骨臼前方関節唇の関節軟骨からの剥離と、より広範囲で局所的な関節軟骨の欠損が認められます。

mixed typeは、上記2つを合わせた混合タイプですが、実際にこのタイプが一番多いといわれています。

インピンジメントテスト

FAIのテストとしては、前方、または後方のどちらでインピンジが起こっているかを確かめるテストがあります。

  • Anterior impingement test
  • Posterior impingement test

前方インピンジメントテストは、
股関節、膝関節屈曲90°にて股関節内転内旋位を強制した際に股関節痛が誘発される

後方インピンジメントテストは、
股関節伸展位にて股関節外転位を強制した際に股関節痛が誘発される

膝関節のインピンジメント

摩擦や炎症による組織の肥厚、瘢痕、変性などの器質的変化が原因となり生じるといわれ、膝関節の様々な部位で起こります。

また、顆間部に生じるものとして、非腫瘍性嚢腫(ガングリオン)および前十字靭帯再建術後にみられる線維性組織(サイクロプス)などもあります。
特にサイクロプスは私も手術見学で確認させてもらいましたが、確かに可動域制限やインピンジメントに繋がるなと感じました。

部位ごとのインピンジメントとして4つに分けて解説していきます。

前方インピンジメント

  • 膝蓋大腿関節の障害:膝蓋骨脱臼・亜脱臼、Excessive lateral pressure syndrome(ELPS)
  • 膝蓋腱:Osgood-Schlatter病、Sinding-Larsen-Johansson病、ジャンパー病
  • 脂肪体:Prefemoral fat pad impingement syndrome(PEPIS)、膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)、ジャンパー膝

前方インピンジメントを起こす、原因としては上記3つの部位が主になります。
詳しく解説していきます。

膝蓋大腿関節の障害

膝蓋大腿関節でのインピンジメントを起こす疾患としては、膝蓋骨脱臼・亜脱臼、Excessive lateral pressure syndrome(ELPS)があります。

亜脱臼:膝蓋骨が大腿骨外側顆へ偏位するもの
脱臼:大腿骨滑車の外側縁を超えたもの
ELPS:膝前面の疼痛を有しX線で膝蓋骨の亜脱臼を伴わない外側傾斜を示すもの

特にELPSは膝蓋骨外側支持機構の緊張の増大による外側膝蓋大腿関節の接触圧増大、大腿骨顆部や膝蓋骨の形態異常、内側支持機構の破綻などが病因として挙げられます。

若年女性に生じる、膝蓋大腿疼痛症候群(patellofemoral pain syndrome;PFPS)は、Q角増大や関節軟骨変性など明らかな器質的異常を伴わない膝前面部の痛みと定義されるため、前方インピンジメントとは区別されます。

膝蓋腱

膝蓋腱の牽引によって引き起こされるインピンジメントになります。

  • Osgood-Schlatter病
  • Sinding-Larsen-Johansson病
  • ジャンパー膝

脂肪体

膝前面の脂肪体には、大腿骨前脂肪体、膝蓋骨上脂肪体、膝蓋下脂肪体が存在します。
膝蓋大腿関節のショックアブソーバとして機能しますが、インピンジの原因になることもあります。

Fat pad impingement syndrome(FPIS)は、外傷の繰り返しにより脂肪体に炎症や出血が起こり、線維化・変性が生じた結果、膝前面の疼痛をきたす症候群をいいます。

大腿骨前脂肪体の炎症によるprefemoral fat pad impingement syndrome(PEPIS)や、膝蓋下脂肪体の炎症によるHoffa病などもあり、様々な疾患が原因となってインピンジを引き起こします。

後方インピンジメント

滑液包や腓腹筋の大腿骨への筋腱付着部炎としてみられ、比較的後方インピンジは少ないといわれます。

ですが、個人的な印象だとそんなことはないと思っています笑

TKA術後の方や、変形性膝関節症による屈曲制限が起こっている方たちは、後方のインピンジを訴える方は多いです。
滑走不全を改善することで、可動域制限の改善も図れることから、おそらく構造的な問題ではなく、一時的なインピンジメントと考えて良さそうです。

内側インピンジメント

内側部のインピンジメントには以下の疾患が関与します。

  • タナ障害
  • 鵞足炎
  • 平泳ぎ膝
  • 半膜様筋腱付着部炎

平泳ぎ膝はあまり聞いたことないかと思いますが、平泳ぎ選手に多く発症する内側側副靭帯の炎症やタナ障害の総称を指します。

外側インピンジメント

  • 腸脛靭帯炎
  • 膝窩筋腱炎
  • 大腿二頭筋付着部炎

外側から後外側にかけてのインピンジメントは上記が原因として挙げられます。

膝のインピンジメントも、しっかりとアライメントを評価をし、ストレス部位を見極めることが大事になります。

足関節と肩関節のインピンジメントの記事はこちら↓
https://hitachiphysio.com/pos-ns/impingement②/

今日はこの辺で、それでは!

参考文献

  1. 福島健介ほか:股関節のインピンジメント:femoroacetabular impingement(FAI).福島健介ほか.Monthly Book Orthopaedics.27(10):1-7.2014.
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佐川 修平

佐川 修平

整形分野で働く現役理学療法士。 カラダに対するキヅキを与えられるセラピストになるのが目標。ブログの他にも、一般向けにセミナーやイベントなどを通じて情報発信中。

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