こんにちは!
今回は腰椎固定術についてです!
皆さんは腰椎固定術をした方に対して、リハビリなどの介入をしたことがありますか?
どの手術もそうですが、手術を理解せずに介入するというのは恐ろしくもあります。
腰椎固定術も手術方法が多くあり、侵入経路によって名前も変わります。
今回は、手術の理解のために、腰椎固定術の種類や基礎について簡単に解説していこうと思います!
目次
腰椎固定術とは
腰椎の固定術は様々な疾患に対して行います。
腰椎固定術は、スクリューとケージなどを使用して脊椎を安定化させる術式です。
腰椎を固定するといっても様々な種類があり、椎体と椎体の間の椎間板にケージ(cage)といわれるスペーサーを挿入するという点ではどの手術も同様です。
では、なぜこんなに種類があるかというと、「ケージを挿入する経路によって違う」からになります。
腰椎固定術の適応は、
- 腰椎すべり症
- 腰椎分離すべり症
- 腰椎椎間板症
- 椎間孔狭窄
- 側弯症
これらによって引き起こされる、腰椎不安定症や骨性の狭窄による障害をきたす病態が腰椎固定術の適応となります!
ちなみに腰椎不安定性の定義は、
腰椎側面の前屈、後屈の機能撮影において、5mm以上のすべりを生じ、10度以上の角度変化をきたすもの
(slip length 5mm以上、slip angle 10度以上)
臨床では、このような不安定性があったとしても、症状を加味し、固定術を行うかどうかを決めていきます。
また、すべり症を伴わない狭窄症には除圧術が推奨されていることから、不安定性がない症例に対しては固定術は行うことは少なくなります。
腰椎固定術の目的
腰椎固定術の目的は以下になります。
- 神経除圧
- 腰椎不安定性の解消
そして、最終的な目標は罹患椎間の骨癒合になります。
骨癒合の達成のためには骨移植が必要になります。
移植骨は、
- 腸骨
- 切除した椎弓などの局所骨
- ハイドロキシアパタイト(人工骨)
- β-TCP(人工骨)
移植されると骨のリモデリングによって2〜5ヶ月で骨新生が起こりますが、実際には経過が長く、2年掛かる場合もあるといわれます。
実際に骨癒合の経過とともに臨床症状には相関関係があるといわれています。
腰椎固定術のメリットとデメリット
固定術のメリットとしては、
- 硬膜嚢神経根の除圧ができる
- 骨移植の母床が大きく、癒合率が高い
- 椎体間に固定するケージの種類や位置によって腰椎アライメント矯正が可能
デメリットとしては、
- 隣接椎間障害
- 再手術の際に椎体間の操作が困難
- 手技が複雑
リハビリやセラピストにも大きく関係してくるのは、隣接椎間障害ではないでしょうか。
隣接椎間障害というのは、固定された椎間に隣接している関節が、固定されている部位の分も大きく動いてしまうことをいいます。
こうなってしまうと、余計に動くことによって、再度不安定性が出てきてしまう、症状が再発してしまうなどが起こります。
固定術をすれば脊柱の可動性が落ちるのは明確ですが、可動域が悪いからと、脊柱運動を促してしまうと痛い目をみる可能性が高くなります。
腰椎固定術の種類


腰椎固定術で一番聞くのが、PLIF(posterior lumbar interbody fusion)です。
PLIF は以前は、骨癒合率が低く、腰椎固定術の第 1 選択ではありませんでした。
しかし、椎体間の荷重を支える素材としてチタンやカーボンが使用されるようになり、椎体間固定のケージ(移植骨を入れる籠)として開発され、現在では腰椎固定術の第 1 選択の手技となっています。
確かにプリフ、プリフってよく聞きますね。
他にも腰椎固定術には
- TLIF(transforaminal lumbar interbody fusion)
- XLIF(extreme lateral interbody fusion)
- OLIF(oblique lateral interbody fusion)
などがあります。では、詳しくいきます。
まず、PLIFとTLIFは後方進入で椎体間を固定する手術になります。
腹臥位の姿勢で、まず後方から椎弓や黄色靭帯を切除して圧迫されていた硬膜や神経根を除圧します。
そして、後方から神経を避け椎間板にケージを挿入していきます。
このPLIFとTLIFの違いは、
PLIF・・・除圧した脊柱管の後方から挿入
TLIF・・・椎間関節を切除して椎間孔に挿入します
PLIFは両側からケージを2個挿入する場合が多く、TLIFは両側から2個入れる場合と片側から斜めに1個入れる場合があります。
OLIFやXLIFと違い神経を直接除圧できる、神経の圧迫が強い症例で適応になります。
ですが、多椎間を固定する場合は出血量が多くりやすいというデメリットもあります。
上記で書いた通り、PLIFは最もよく用いられています。
またPLIFの他にPLFという方法も聞いたことがあるかと思いますが、軽度な症状の場合取る方法と考えても良いと思います!
そしてXLIFとOLIFは、
側臥位の姿勢で側腹部に皮切を加え、腰椎の側方からアプローチをしてケージを椎体間に挿入します。
後方からの手術との違いは、脊柱管内の神経を避ける操作がないため、大きなケージを挿入することができます。
そのため、変形の矯正力が大きくなり、硬膜外静脈叢や骨からの出血が抑えられます。つまり出血量が少ないというわけです。
ですが、脊柱管狭窄症のような、肥厚した骨や黄色靭帯を切除して除圧することはできません。
矯正することで二次的に除圧するというわけです。
XLIF・・・腸腰筋を割いて真横からアプローチ
OLIF・・・腸腰筋の前方から斜めにアプローチ
同じ側方でもアプローチ方法が変わります。
この側方からのアプローチは、後腹膜腔からアプローチするため、腸管損傷、血管損傷などの合併症のリスクが高まるため、技術を要することになります。
腰椎固定術後のリハビリテーションについて
術後のリハビリテーションは何に着目すればいいのでしょうか?
腹筋、背筋のインナーマッスル?股関節や胸椎の可動域拡大?
手術や論文から読み解いていくと、動作の学習や教育というものが一つ、浮かびあがります。
これは、装具固定や骨癒合の時期の影響から考えることができます。
腰椎固定術後は装具による固定を大体行います。病院によっては早期から使用しないなんて病院もあるかもしれません。
当たり前ですが、装具を付けていることによって、精神的・身体的依存性が生じます。
長期間の使用では筋萎縮や可動域制限なども起こることが容易に考えられます。
装具の除去を医師から告げられても、付けている方が楽だからという理由でその後も使用している人もよく見受けます。
確かに、急に外して良いと言われても怖いと思います。
というか、その時期までリハビリをやっている人も少ないですよね。
つまり、装具を外す時期の事や、装具を付けているデメリットを知った上での自主トレーニング、
そういったことを教育しないといけない訳です。
骨癒合も同様です。
上記でも書いた通り、骨癒合と機能改善には相関性があるため、長期間掛かることが考えられます。
今現時点の疼痛や身体機能で日常生活をどのように行うかを学習させる事なども必要になります。
手術知識を知る事で、術後のセラピストの介入を考え直すことができますね。
それでは!
参考文献
- 水野 正喜ほか:腰椎固定術の基礎と低侵襲手技の発展,脳神経外科ジャーナル,26;353-361,2017.

佐川 修平

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